take me out
penalty (ぺージ4/7)
「シカマルさん、お茶のお代わりい……る?」
「あぁ、欲しい」
不自然な間合いを取った会話に笑いをこらえる俺の前で憮然とした顔の名無子がカップを二つ持ち、キッチンへと姿を消す。
「あ、そういえば、今度の休み決まったか?」
キッチンのほうを覗きこみ、俺が声をかけると、名無子がお茶を注ぎ足しながらすぐに返事をした。
「うん、決まり……った」
「決まりった? なんだよ、その言い方。流行ってんの?」
揚げ足とるようにわざと突っ込む俺に名無子は肩を怒らせ、大きな声で勢いよく告げた。
「決まった! 休み決まった!」
っつぅーか、ウケる、コイツ。
何、ムキになってんだか。
笑いをかみ殺す俺の顔前にダンッとお茶の入ったマグカップが置かれ、名無子のその妙に苛立つ様子にまた笑いが込みあげた。
そんな調子で名無子の部屋で過ごす休日はいつもののんびりムードとはちょっとだけ違った様相で過ぎていく。
これはこれで結構面白いな。
そう思いながらも、まだ罰ゲームが施行されていないことが若干寂しかったりもする。
罰ゲームに困ったり恥ずかしがったりする名無子の姿を楽しみにしていたし、正直これにかこつけてキスしたいとも思っていた。
でも、なんだかんだ言って名無子はかなり健闘し、少々大目に見てやってる間違い以外は確かに丁寧語を使わずタメ口で頑張っている。
さすがに一度や二度は間違えるだろうとふんでいた俺も、このまま間違えてくれなかったら俺が罰ゲームか、と少々そちらが気になってきた。
俺に命令って、一体何言ってくんだろうな?
まったく予想もつかず、内心、困惑は隠せない。
だが、それがバレんのも癪で、俺は余裕な表情を通した。
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