take me out
cherry (ぺージ3/6)

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ひどく愛おしい。
その思いに俺は名無子をぎゅっとさらに抱きしめた。

「シカマルさん?」
「いいから寝とけ」

精いっぱい平静を装って強がる俺に名無子は実に見事な痛打を寄こす。

「ヤです。だって……一緒に起きてたい」

なんだってもう、んな可愛いこと言ってくんだよ――。

眉間に思いっきり力を込めた俺の心臓がバクバク言ってる。

やばい、抱きしめてると俺の心臓の音、コイツに聞かれちまうんじゃね?!

それが心配になって腕をゆるめたら、顔を下から見上げられた。
見合わせた名無子の顔も微かに赤く染まってて、そのことにふっと落ち着きを取り戻す自分がいた。

そうか、コイツも照れてる……。

ドクドクいう心音は止まりはしないが、それでもどこか冷静な理性が自分を支配してみせる。
俺はその冴え冴えとした理性に支えられ、名無子の頬にそっと触れる。

「わかった。じゃあ……寝るな」

頬に指を滑らせ、低く呟いた。
名無子の瞳を覗きこみ、そのままキスをしようとしたとき、ふたりの鼻先を一枚の花びらがひらひらと掠めていった。
顔前をよぎったピンクのそれに、間にわずかな距離を残した唇が互いに静止する。
俺は名無子と目を合わせた後、頭上のサクラへと視線をあげた。

『ちょっとシカマル、聞いてるのォ?!』

咲き乱れる花の中にイノの不服そうな顔と、聞いてる聞いてると適当に相槌うってた自分の姿が浮かび上がり、あの時言われた話を思い出す。



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