take me out
cherry (ぺージ2/6)

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優しく訊ねた俺に、小首を傾げた名無子から右肩上がりの声が返される。

「シカマルさん、もう少しここにいます?」
「あぁ、そのつもりだけど。お前、もう帰るのか?」

声に若干の残念さが滲み、それが気恥ずかしくて俺は眉間にしわを寄せた。

「いえ、違います、そうじゃなくて」

俺の言葉をすぐに否定した名無子が俺の横にコテンと寝転がった。

「シカマルさんがまだいるなら、ちょっと寝させてもらおうと思って」

俺のほうを向いて横たわる名無子に倣い、俺も体の向きを変え、名無子と顔を見合わせる。

「任務きつかったのか?」
「うん、ちょっとだけ」

あんまり人前で弱音を吐くような奴じゃないだけに俺の前で素直にそう認めてくれるのがひどく嬉しかった。

「いいぜ、寝て」

俺ならちゃんとお前のそばにいるから。
安心して眠っとけよ。

俺の言葉に名無子はその茶色い瞳に俺の姿を映すと、フワッと笑ってそっとまぶたを閉じた。
けれど、ものの三秒と経たないうちに名無子はスッと瞳を開く。

「どうしたんだよ? 寝れねぇーのか?」

俺が疑問のまなざしで注視すると、その視線から逃れるように名無子が目を伏せた。

「やっぱり寝るのやめます」
「なんで。疲れてんだろ? 眠っていいぜ?」

いえ、と言ったきり口をつぐんだ名無子が、ほんの少し間をおいて、オズオズと目をあげる。

「あの……せっかくシカマルさんとのんびりできるから……」

バクンッと俺の胸が鳴って、顔が熱くなるのが嫌でもわかった。
そんな顔を見られたくなくて、俺はあわてて名無子の体を引き寄せた。

ちょっと待てって、不意打ち過ぎだろ、それ?!

顔を真っ赤にしてるであろう自分をカッコ悪ィーと胸の中でバカにして、俺は腕の中に名無子の体を閉じ込める。

ふたりでのんびりできる時間なんて日頃なかなかありはしない、だから今日こうしていられる時間は任務で疲れた体を叩き起こしてでもふたりで一緒に過ごしたい――。

名無子の言葉にしない気持ちが充分に伝わって俺の心が満杯になる。



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