take me out
happy (ぺージ8/12)

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ゆっくりとした足取りで歩いたところで、俺たちは名無子の住むアパートにすぐさま到達してしまう。
俺の気持ちとはキレイに反比例してくれる時間の流れに、俺は心底うなだれた。
このまま別れたくなんかなかった。
もっとコイツと一緒にいたい。
でも……。

「寄っていきますか?」

アパートの外付け階段の下、名無子が俺を見上げてたずねた言葉に、俺はなんてことナイ顔して答えた。

「いや、やめとく。明日の任務、朝早ェーし」

口に出した正論に、俺の心が中に詰まった想いごと、グシャリと潰れた。
どうにもできやしない現状に、俺は握っていた名無子の手をゆるゆると離す。

「じゃあ、な」

名残惜しそうに名無子を見つめる俺に、

「あの、ちょっと待っててください」

名無子はそう告げると、急いで自分の部屋に戻り、すぐまた俺の前へと駆けてくる。
軽く肩で息する名無子が俺に、

「ハイ」

と、紙袋を差し出した。
素直に受け取り、中をのぞくと、袋の中の箱が目に映る。
15cm四方の白い箱。
それを見つめながら、

「なんだよ、コレ?」

首をかしげる俺に名無子が答えた。

「ケーキ……です」
「ケーキ?」

顔をあげた俺に名無子が言う。

「シカマルさん、お誕生日ですから」

その一言に、俺は息を飲んだ。

コイツ、覚えて――?

マジマジと見つめる俺の視線を名無子がまっすぐ受け止める。

「おめでとうございます、シカマルさん」
「――」

何も言えずにいる俺に名無子は申し訳なさそうに続けた。



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