take me out
happy (ぺージ4/12)

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そんな状態でどれだけ過ごしていたんだろう。
縁側から見上げた空はまだ青が大きく広がっているものの、そこに浮かぶ雲は西の空に沈みゆく太陽の光を受けてオレンジピンクに染まり、細くたなびいている。
あと三十分もすれば、辺りは一気に暗くなるだろう。
もう、そんな夕方と夜の狭間の時刻になっていた。
庭から流れ入る風が首筋を撫でて、冷やりとした感触が生まれる。
俺は盤上の駒を木の箱に片しながら、ほんの少し後悔の念に襲われた。

意地張っててもしょがねぇーか……。
アイツに会いたい気持ちは本当だし。
いてもいなくてもいいから、とりあえずアイツんちに行ってみるか。

そう思って、ようやく腰をあげようとしたとき、

「シカマルさん?」

門のほうから庭へと入ってきた人物が、遠慮がちに俺の名前を呼んだ。
ハッと振り向くと、そこには、

「名無子――」

今日、俺がずっと待ちわびていた恋人の姿があった。
名無子が庭を突っ切って、俺のいる縁側へと近づいてくる。

「よかった、会えて。任務でいないかとも思ってたんで」
「俺は今日、一日休みだ。お前こそ任務だったんじゃねぇーの? 今、帰ってきたのかよ?」
「私も今日は任務じゃありませんよ」

名無子の返事に、俺は、はぁっ?! と、思わず愚痴っぽく突っかかった。

「なんだよ、休みだったのかよ。だったら、もっと早く来りゃいーのに」
「えぇ。ただ昨日の任務から帰ってきたのが今朝方だったもんで、それから寝に就いて……」
「寝るっつったって、今まで寝てたわけじゃねぇーだろ?」

俺の言葉に、名無子が伏し目がちに答える。

「そりゃあ、まぁ、そーですけど。起きてから、ちょっと用事もあったんで」
「用事?」

俺は不機嫌に眉根を寄せる。

俺より大事な用事があんのかよ?

でも、それ以上に、

っつぅーか、コイツ、マジで忘れてんだろ、俺の誕生日。



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