Girl's side-36 (ぺージ3/4)
bookmark?シカマルさんとの待ち合わせの前に、私はここに来た。
父上、兄者。
殉職者の墓石の前に花束を置いて、
行ってきます。
私は墓碑をあとにした。
丘の上にはすでに任務終わりのシカマルさんが座りこんで待っていた。
私は丘を急いで駆け上がる。
息を切らした私を前に文句を言おうとしたシカマルさんが言葉を失った。
それもそうかと思う。
今までずっと黒のつなぎだったのに、今日の私は薄いピンク色のトップスとカーキのハーフパンツを着ている。
似合わないかなって心配になったとき、シカマルさんは少しだけ照れたように笑顔をこぼすと手を差し出してきた。
その手をきゅっと握って、私もシカマルさんのそばにぺたりとしゃがみこむ。
ねぇ、シカマルさん。
シカマルさんの手さえ握っていればきっと大丈夫って、かならず私を守ってくれるって、いつからかそんなふうに思えてならないんだよ。
だから、ずっとこの手を握っていたいよ。
もう、どこにも迷わぬように。
あなたの手を、ずっと――。
二人のそばを風が吹き抜けて、緑色の丘がそよいだ。
空はいつにもまして紺碧で、その中に浮かぶ真っ白な雲に陽の光が乱反射する。
ふりそそぐ光が私たちを包みこんで、ここだけ世界から隔離された気分になった。
私の手を握るシカマルさんの手に力が込められて、
またきっと違う景色の場所へ連れ出してくれるんだ。
そう思った私はシカマルさんに吸い込まれるように笑った。
そうして――。
私たちのつないだ手のすきまには小さな小さな虹がかかる。
end.
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