take me out
Girl's side-35 (ぺージ2/2)
そして、
「……手裏剣?」
戸惑いがちに声を出す。
そう、私のお守りの正体は、三枚の手裏剣。
私は雨に濡れた地面を見つめて、静かに口を開いた。
「はじめて一緒に任務出た時のこと、覚えてます? 旅の一座の護衛で……」
「山賊に襲われたアレだろ?」
「えぇ、そうです。あの時、シカマルさんが私を助けようとして、この手裏剣を投げてくれたんです」
「あぁ……」
その時の記憶を思い出すように、シカマルさんがうなずいた。
そんなシカマルさんに私は言葉を続ける。
「はじめはただ拾って持って帰ってきただけだったんですけど。そのうち、いつかお礼を言わなきゃって持ち歩くようになって。そしたら、いつの間にか、今度は私にとってのお守りになってました」
ただの仕事仲間の一人だったはずなのに、気になりだして、どんどん大事な存在になっていって。
私はその手裏剣を持っているだけで、そう――。
「シカマルさんが一緒にいて私を守ってくれてるような気持ちになれたから」
それは私の大事なお守り。
私は水たまりを見つめていた視線をシカマルさんに向けた。
「でも、もう、それ、いりません。お返しします」
無言で私を見つめたシカマルさんから目をそらし、そして、もう一度視線を戻した。
しっかりとシカマルさんを見つめる。
うるさく騒ぎだした心臓の音をはねのけるように、私は、
「これからはシカマルさんがそばにいてくれるんですから!」
そう言って、シカマルさんの前であふれる思いのまま思いっきり笑った。
トンッと、私の頭がシカマルさんの肩に引き寄せられて私はその胸に手をついた。
シカマルさんが片腕で私の頭を抱きしめている。
優しく響く真剣な声が私の斜め上から降ってきた。
「あぁ、いてやる。お前のそばにいて、俺がお前を守ってやる」
その言葉に、私は思わず目を閉じた。
幸せすぎて体が震える。
あなたが守ってくれるから、私の心はこんなにも明るくあったかい。
私もあなたを幸せにできるなら、たくさんたくさん笑うから。
どうかそばに、いてください――。
シカマルさんの腕の中で、私はコクンとうなずいた。
to be continued.
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