Girl's side-33 (ぺージ3/3)
bookmark?「何してんですか」
カップを手に部屋に戻った私は思わずシカマルさんの行動に首をかしげた。
シカマルさんは私のベッドに腰かけて、私にくれたクマのぬいぐるみを相手ににらめっこしていた。
私の声にハッと気づいて振り向いたシカマルさんの顔がめずらしく少し焦っていてひどく可愛い。
「いや、別に。あぁ、お茶さんきゅー」
必死に照れを隠すようにそう言って、シカマルさんがカップへ手を伸ばしてきた。
素直にマグカップを渡そうとして、やっぱり気が変わる。
私はシカマルさんの手をそのままにしてベッドにあがると、
「ハイ、どーぞ、シカマルさん」
これ見よがしにクマのぬいぐるみに向かってカップを差し出した。
「バカか、お前は。ワザとらしいっつぅーの」
すぐに突っ込みを入れたシカマルさんに、さも今気づきました的な顔をして、
「あれ、シカマルさん、そっちでしたか」
私はぬいぐるみとシカマルさんを見比べてみせる。
「……」
シカマルさんが不機嫌そうな顔で私の手からカップを奪った。
「……ったく」
眉間にしわを寄せて緑茶を飲むシカマルさんの姿に、さっきからかわれた仕返しが成功したと確信して、私はベッドの上を移動した。
シカマルさんの背中に自分の背中を合わせる格好で腰を下ろすと、少しだけその広い背中に体を預ける。
背中越しに伝わる体温が気持ち良くて、私はなんの警戒もなく、勢いよくお茶を口に含んだ。
「熱ッ」
思いのほか熱かった緑茶に慌ててフーフー息を吹きかけ、冷ましにかかる。
シカマルさんがお茶を飲むたびにわずかな振動がこちらの体に伝わって、それが妙に心地いい。
背中を通して感じるシカマルさんの存在に溶かされて、私の心はカップから立ち上る湯気のように、ベッドの上でやわらかに広がった。
to be continued.
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