Girl's side-31 (ぺージ2/4)
bookmark?窓の向こうに。
この窓枠を超えて。
そっちに行っていいですか？
「あたしもそっち行きたい。もっとシカマルさんの近く行きたい……」
私の心が切望する。
私は窓の桟に手をついて、さらに体を乗り出した。
さっきよりも体重のかかった手にズキッと痛みが走る。
そうだ…私、ケガ人なんだ……。
「このケガじゃ無理ですよね…。すいません、変なこと言って……」
弱気な心に引き戻される。
そんな私を捕まえるようにシカマルさんの声が届いた。
「来いよ。こっち、来い」
手を伸ばしてくれる。
夜目にもシカマルさんがとっても真剣に言ってくれてるのがわかって、私は迷うことなくその手に両手を伸ばした。
なんでだろう。
この人の手を握ってれば、きっとすべて大丈夫だって、そんな確信にも似た安心感が私の体を吹き抜けた。
私たちの手が触れそうになる。
その瞬間。
チカッ！
暗い廊下に瞬いた細長い光に気がついて、私はハッと振り向いた。
見回り？
もうすぐこっちに来る……！！
私は急いで窓を閉めると、体をベッドに滑り込ませてベッド回りのカーテンを閉めた。
パテーションの中で息をひそめる私の目に、間もなく室内を照らしだす光が映った。
あぶない、あぶない……。
身じろぎひとつせず、巡回者の足音と光の動きを目だけでじっと追いかける。
それらはゆっくりと室内を歩きまわると、特に異状を発見できなかったこの部屋を後にして、もと来た廊下へと戻って行った。
廊下を遠ざかって行く光をしばらく見送ってから、私はまたベッドを抜け出した。
パテーションから顔だけ出して辺りをうかがう。
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