take me out
Girl's side-29 (ぺージ3/3)
私がまっすぐ注ぐ視線の先で、
「ばーか。礼なんか言ってる場合じゃねぇーだろ。んなことより、早くケガ治せ」
シカマルさんは無愛想にそう言って、ベッドの端から腰を上げた。
「そろそろ見回りの人間が来る頃だな。帰るとすっか。んじゃあな」
あぁ、そっか。
もう帰っちゃうんだ。
押し寄せた心細さをしまいこんで、
「うん」
私が返事をすると、ドアに向かっていたシカマルさんがおもむろに振り返って私を見た。
次はいつ会えるんだろう。
なんて、不安に思いながらシカマルさんを見ていた私に、シカマルさんはフイッと背を向けて呟いた。
「心配すんな。毎日、来てやるから」
そう言い残して、静かに部屋を出て行った。
『毎日、来てやるから』
明日も、明後日も、会える、シカマルさんに会えるんだ――。
一人になった病室で、私は何度もシカマルさんの言葉を反芻した。
嬉しくて、嬉しくて、そばにいてくれることが私は何よりも嬉しかった。
こんな薄暗い部屋に一人でいるなんてイヤだった。
そう思って見上げた天井は、見れば見るほど冷たくて、心細さに拍車をかける。
目が覚めた時一番最初に目にするのがこの天井じゃなくてよかった……。
私を心配そうにのぞき込んでいたシカマルさんの顔が思い出されて、私はゆっくりと目を閉じた。
to be continued.
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