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Girl's side-28 (ぺージ2/2)

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けれど、私はそれを無視してもう一歩、兄者のほうへと歩を進める。

『約束だぞ?』

さらにかけられたその声に私の足が止まった。
何かが心に引っかかる。
大切な何かが。

約束……。
約束――。

私は無意識に握りしめていた左手を胸の前で開いた。
手のひらに転がる一粒のこんぺいとうに、

こんぺいとうをくれたのは…兄者で。
兄者と、あと――。

目の前でほほ笑む兄者の姿が虹の光に照らされて、その光に溶け込むみたいに急に薄くなっていく。
輪郭がどんどん消えゆく様を見つめながら、

虹を、私に虹をくれたのは――。

私は大切な誰かを思い出そうとした。

私の大切な――。

『ばぁか。いなくなんねぇよ』

その声に、私の頭に彼の後ろ姿が浮かび上がった。

いつも一緒にいてくれた――。

その瞬間、兄者の姿が霧散して、私ははじかれたように虹に向かって走りだした。
走って走って走りながら虹の下にひときわ明るい光を見つける。
息があがって、それでも私は闇の中を虹を目指して、その下にある光に向かって走り続けた。
光を背に、誰かがこちらを向いて立っているのが見える。
その顔は逆光ではっきりとはわからないけれど、
でも、
きっと、
それはまちがいなく、
私の大好きな、

シカマルさん――。

私はあなたの名前を力いっぱい呼んだ。





to be continued.
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