take me out
Girl's side-23 (ぺージ5/5)
「こんぺいとう…大好き…です……。でも……。……さん…も……、……シカマルさんも…いなくなっちゃうの?」
私はいつの間にか、両手が真っ白になるほど、彼のベストを力一杯握りしめていた。
よみがえる記憶に押し潰されそうで、私はさらに必死にベストを掴む。
「兄者が……兄者が私にくれて…こんぺいとう……私が好きだから…。…でも、その後、任務に出て……帰ってきてくれなかった――」
怖い……。
怖い――。
「私、いや…シカマルさんを失うのはイヤ……シカマルさんまで失いたくないよ――」
目の前にいるシカマルさんが消えてしまわないように、私はそのベストを握りしめたまま、シカマルさんの顔を見上げた。
イヤだ……。
シカマルさんまで帰ってきてくれなかったら……。
私、そんなの、もうイヤだ――。
こみあげる胸の痛みに耐えきれずに、私の目から涙がこぼれ落ちた。
溢れる記憶と共にとめどなく流れていく。
もう、あんな思いしたくないよ――。
グッと、突然、私は腕を掴まれた。
その瞬間、
「ばぁか。いなくなんねぇよ。いなくなるわけねぇだろーが。だから、安心しろ」
私はシカマルさんの声を浴びながら、体いっぱいにその香りを吸い込んでいた。
シカマルさんが、抱きしめてくれてる。
「安心しろよ。安心して、思いっきり泣いとけ。俺の前で好きなだけ泣いていーから。一人になんか絶対ェしねぇから」
耳元で真剣に話すシカマルさんの声があまりにも優しくて、私は静かに目を閉じた。
シカマルさんの腕の暖かさに、今まで固まっていた氷が溶けていくかのように、私の閉じた瞳から恐怖も不安も何もかもが溢れ出して昇華する。
止めることができずに落ちた涙が、シカマルさんの胸をゆっくりと濡らしていった。
to be continued.
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