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Girl's side-23 (ぺージ4/5)

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キッチンから戻ると、

「ほら」

シカマルさんが紙袋を差し出してきた。
私がそれを受け取ると、シカマルさんがぶっきらぼうに告げる。

「みやげ。やるよ」

おみやげ?
何だろう?

私はシカマルさんの横で、その紙袋の封を開けた。

あ……。

目に入った小さな包みを中から取り出す。
かわいくラッピングされた包みの中に、カラフルな星形の砂糖菓子が詰め込まれていた。

そう、これは。
私の好きな……。

シカマルさんの優しい声が体下から響いた。

「なんかこんぺいとうって星に似てねぇ? お前、星好きみてぇだし、気に入るんじゃねぇかと思って」

こんぺいとう……。
私の好きな……兄者がくれた小さな小さな砂糖菓子――。

『ほら、名無子。お前におみやげ』

そう言って笑った兄者の姿が、その後起きた出来事が、私の中でブワッとフラッシュバックして、あっけないほど簡単に足の力が抜けていく。
私は思わずヘナヘナと床にしゃがみ込んだ。
思い出したくもない思い。
失う痛みも、一人になる寂しさも、もう二度と思い出したくないのに。
それがまた繰り返されるとでも言うのだろうか。
このこんぺいとうを置いて、シカマルさんが任務に出たら、シカマルさんも兄者のようになって、私はまたあんな思いをしなきゃいけないと言うのだろうか。
声を発することも出来ない私の耳に、シカマルさんの困ったような呟きが届いた。

「だよな、気に入るわけ――?」

シカマルさんの呟きがふいに途切れて、それと入れ替わるかのように、私は震える口を開いた。



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