take me out
Girl's side-22 (ぺージ1/3)
となりで本を片手に開きながら、カカシ先生が歩いている。
その視線は本を読むようでいて、チラッチラッと私の顔にふりそそぐ。
最近ずっとこんな調子で。
そして、最後は決まってこのセリフ。
「ねぇ、名無子。なんかイイことあった?」
ほら、今日もそれだ。
「別に何もありませんけど」
私はいたって冷静に同じ返事を繰り返した。
「はぁーー」
わざとらしい溜息と共にカカシ先生はいじけたように食い下がる。
「いいじゃない、俺に教えてくれたってぇ。それとも何、俺はかわいい部下のことを心配しちゃいけないっていうの?」
「何もありませんけど」
「そんなことない」
即座にカカシ先生が否定した。
何、その自信は……。
どっから湧いて出るのよ。
カカシ先生が本をパシンと閉じて、
「教えて」
「何もありませんけど」
「教えて」
あぁ、もう、意固地になっちゃって……。
「じゃぁ、その本の内容教えてくれたら言いますけど」
私は閉じた本にチラッと視線を走らせた。
(ページ1/3)-132-
←|→ backselect page/254