take me out
Girl's side-12 (ぺージ4/4)

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力の抜けそうな体をなんとか引きずって、私は自分の部屋にようやく辿りついた。
体だけじゃなくて心の中まで脱力している自分がいて、私は冷たい水で顔を洗おうと洗面台へ向かった。
情けない自分の顔が鏡に映ると、その右頬に絆創膏が貼られているのが見えた。
それを指先でなぞってみる。
こんなことしてくれるのは奈良さんしかいなくて、私の頭がまた彼でいっぱいになる。
私は鏡の中の自分を見つめた。

私は奈良さんを怒らせてしまった……。
違う…怒ったんじゃない。
奈良さんはとってもつらそうで、苦しそうで、悲しそうだった……。

その理由を考えようと、少しだけ混乱から抜けだした頭で、私は奈良さんの言葉を思い出していく。

『何考えてんのか、何思ってんのか、俺には言えよ! もっと俺にお前を見せろよ!』

あぁ、そうか。
奈良さんは私のことを理解しようとしてくれてたのに、私はあの人に何も見せてはいなかったんだ。
勇気が無くて、何も見せていなかった。

私は胸元をぎゅっと掴んだ。

優しさに甘えなければ良かったんだ。
私が弱いから、奈良さんの優しさに甘えて、奈良さんの存在がどんどんどんどん大きくなっていって、でも結局、自分を見せられず、あの人を傷つけて、奈良さんは離れていってしまった。
私、バカみたいだ。
奈良さんに嫌われて、こんなに胸が苦しくなるなんて――。

何食わぬ顔して私のこと受けとめて、いつだってそばにいてくれた奈良さんの落ち着いた顔が目に浮かぶ。
その姿を消し去るように、私は頬の絆創膏を力まかせにピッと剥がした。
痛くて痛くて涙が零れる。

もう、甘えたりなんかしない……。

私の中にかかった虹が、その色を失って、砂のようにさらさらと崩れ落ちた。





to be continued.
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