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Girl's side-11 (ぺージ3/3)

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奈良さんの身長くらい軽くある草を、一生懸命かきわけて、奥へ奥へと進んでいく。

一体ここはどこなのよ?

そう思いつつも、私は奈良さんに左手を引っ張られ、大人しくその背中についていった。
奈良さんがくるりと振り返って、口元に指をあてた。
シーッと合図してしゃがみ込む。
よくわからないまま、私も奈良さんのマネをして、音をたてないよう、しゃがみ込んだ。
奈良さんは再び前を向くと、目の前の草をそっとどかして私を隣に引き寄せた。
奈良さんの横で、草の隙間からその奥を覗き込む。

……!!

目の前には川の水面をとびかう蛍が数え切れないほどの光の帯をつくって、音もなく優雅に星空のような情景をつくりあげていた。

すごいキレイ……。

あまりの美しさに見入る私の耳元で、

「すげぇキレイだろ?」

奈良さんの嬉しそうな囁き声が聞こえた。
私はうんうん頷きながら、蛍の流れゆく光を夢中になって見つめる。

すごいよ、ほんと……。

光の流れにしばらく見とれていると、フワフワと、私たちの元に蛍が一匹近寄って来た。
奈良さんがゆっくりと私の手を離して、

パシッ

と、蛍を両手の檻に閉じこめる。
その手を少しだけゆるめると、奈良さんの手の隙間から蛍の光がスゥーと漏れだした。
それがまた幻想的で私の心を捕らえる。
そんな私の隣で、

「ほら。なんか流れ星つかまえたみたいじゃねぇ?」

いつもはすごく大人びて見える奈良さんが、なんだか妙に少年ぽく無邪気な顔で笑った。
でも、すぐに両手をパッと開いて蛍を逃がしてしまった。

あ……。

蛍は光の筋を残して空へと昇っていく。
私たちはその筋に吸い込まれるように、二人で空を見上げた。





to be continued.
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