take me out
Girl's side-10 (ぺージ1/5)
木の葉の里の門を無事くぐり、私はひどくホッとした。
疲労のひどいカカシ先生をやっと休ませてあげられる。
「カカシ先生、大丈夫ですか?」
「ありがと、大丈夫だよ」
と口にした瞬間、カカシ先生の膝がガクッと折れた。
「カカシ先生!」
「ハハッ……ちょっと頑張りすぎちゃったかな」
私が弱いから、私はカカシ先生に何一つ手助けできてない……。
助けてもらうばっかだ。
先生一人でこんなに頑張ってくれて……。
「すみません……。先生ばっかり頑張らせちゃって」
私が謝ると、カカシ先生は目を細めて笑った。
「名無子ちゃーん、違うでしょ? こういうときは謝るんじゃなくて『ありがとう』って言うんだよ。『頑張ってくれてありがとう』」
ありがとう?
言えないでいる私にカカシ先生が念を押す。
「ほら、言ってごらん。『ありがとう』」
この場の逃げ切れぬ雰囲気に、私はモゴモゴしながら、
「ありがとぅ……」
と言ってうつむいた。
「はい、よくできました! 感謝の気持ちはちゃんと伝えないとね」
ニッコリと笑うカカシ先生がさらに続ける。
「名無子ちゃんは他にもまだまだ練習しないとダメよ?」
「……何を、ですか?」
「人前で上手に泣くことと、それともう一つ。ね?」
そう言って、カカシ先生は優しく笑った。
(ページ1/5)-59-
←|→ backselect page/254