take me out
Girl's side-08 (ぺージ3/4)
満足そうに駒を並び替えていく奈良さんに、私は冷たく言い放った。
「やっぱ無理です」
「は?」
「私、将棋できないんで」
思いっきりしらばっくれた。
当然、奈良さんに呆れた視線を投げられる。
「嘘つくな。さっき『王手』とか言ってたじゃねぇーか」
「気のせいです」
「んなわけあるか。じゃあ、ハンデやるから」
「ヤです」
ハッキリキッパリ言い切った私に、奈良さんはお得意の、ったく、めんどくせぇーなぁって顔をして
「わかったよ、じゃあ、いいよ」
と吐き捨てる。
その言葉に私は
「そーですか」
って答えながら、別のことに思いを馳せていた。
将棋だけじゃなくって、いろんなことが私はきっと……
「奈良さんには絶対勝てないんで」
そう言葉にすると、私は立ち上がって空を見た。
夕焼けを感じさせ始めた空を前に
きっときっと私は勝てない。
この先もきっと……。
漠然とそんなことを思っていた。
この人にはなんかそんなことを思わされる。
少し続いた沈黙の後
「お前さー。なんで、いっつも黒い服着てんの?」
ふいに声をかけられて、私は思わず振り向いた。
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