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Girl's side-07 (ぺージ3/3)

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別に奈良さんに会いに来たわけじゃないから。

ゆっくりと、でも確かな足取りで一歩一歩奈良家に近づいていく。

そんなんじゃないから。

奈良家の庭へと足を踏み入れる。

だって相手は寝ているんだし。
そんなの会ううちに入んないし。

自分を納得させられるだけの整然とした理由も見つからないまま、トクントクンとうなる自分の鼓動と共に、私は縁側で眠るあなたの足元にたたずんだ。

『ヒマな時は俺んとこ来いよ』

頭に響く奈良さんの声に、心臓がドクンッと脈打った。

私だってヒマなわけじゃないんだけど。

心の中で口答えしているくせに何故か私の体は吸い込まれるように奈良さんの足元に座り込む。
そのまま空を見上げた私の横でふいに

「名無し……?」

寝ているはずの人から名前を呼ばれた。

――起きてるの?!

私はビクッと奈良さんを凝視する。
ウトウトと寝入る間際といった、少なくとも起きているわけではなさそうな奈良さんに少しホッとして。
思わず、返さなくていい返事を私は小さな声で返していた。

「そうですけど」

私の声が聞こえたのか聞こえてないのか、でもほんのちょっとだけ奈良さんが満足そうに笑った気がして、私はその足元に腰をおろしたまま、真っ青に晴れ渡る上空をもう一度見上げた。
隣に奈良さんがいるってことが、否定できないくらい大きな落ち着きを私に与えている。

少しならここにいてもいいかな――。

一瞬だけ、私はこの場所で自分の弱さを認めた。





to be continued.
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