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Girl's side-06 (ぺージ3/3)

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なんなのよ……。
ねぇ、なんなのよ?
あり得ないから。

私の脳裏に目つきの悪い奈良さんのきれいな顔が浮かんだ。
ありえない。
奈良さんの優しい言葉も。
その手のぬくもりも。
頭から全部否定する。
だって、否定しなきゃいけない。
今ここでこの安心感に溺れたら、今度こそきっと私は耐えきれない。
失ったときの、その痛みに、哀しみに、私はきっと耐えきれない。
懸命に否定して、否定して、それなのに否定しきれない何かが私の胸にわだかまる。
私は逃げるように空を見上げた。
抵抗しても、抵抗しても、今まで真っ暗だった心の中は、微かに明るく温かい。
その光を灯したのは間違いなく奈良さんで。
奈良さんの優しさに、私の頭は不安でいっぱいなのに、心は逆に温かさで満たされてしまう。
私は見上げた空に浮かぶ虹を見て泣きそうになった。

あぁ、虹……。

私の中に生まれた光は、まるで空にかかる虹のようで。
私は空を凝視した。

奈良さん――。

七色の橋をかかげた空の下で、奈良さんが私の中に小さな小さな虹を架けた。





to be continued.
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