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Girl's side-06 (ぺージ2/3)

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あらがう自分の声がする。

優しさなんていらない。
そんなモノいらない。

私は目を開けた。
奈良さんの背中を見据えて、自分の感情を押さえつけて、私は目の前に言葉を吐き出した。

「別に寂しくなんかない」

私は寂しくなんかない。

奈良さんが振り向いて、私と目が合う。
値踏みするように私の目をとらえると、奈良さんはそっぽを向いてめんどくさそーに呟いた。

「だよな。寂しいわけねぇーか」

寂しいわけない。

奈良さんは少しだけ考えるような素振りをすると、なぜか今度は確信顔で口を開いた。

「まぁ、そうは言ってもよ。暇なときは俺ンとこ来いよ」

そう言って、私の頭にポンッと手を置いた。
その手が思いがけず大きくて温かくて、私の胸に懐かしいぬくもりが思い出される。
言いようのない安心感に包まれて、私はひどく動揺した。
その横を奈良さんがスッと通り過ぎていく。

「んじゃあな。風邪引くんじゃねぇぞ」

優しく言い置いて、奈良さんは私の後方へと姿を消した。
遠ざかる奈良さんの気配が、やがて空気に溶け込むようになくなっていく。
私はまた一人野原に残された。



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