take me out
Girl's side-04 (ぺージ2/4)
「ほーら、名無子。お前におみやげ」
夕食前の暖かなリビングで、青年が得意げに笑って小さな包みを差し出した。
「え? 何、何?」
「お前の好きなもの」
名無子が包みを受け取って開いてみる。
「あっ!」
「好きだろ、コレ?」
「うん! ありが……」
名無子がお礼を言いきる間もなく、青年は包みに手を伸ばすとその中のちっちゃな砂糖菓子を一粒、口に放り込んだ。
ガリッと満足顔で噛み砕く。
「あっー、兄者!! 私より先に食べたー!!」
「平気、平気。減るもんじゃないって」
「減ってるってば! 一粒減ってるからぁ! もぉーー」
名無子がベシベシとからかい口調の兄者を叩く。
そして、アッと顔色を変えた。
「もしかして……また長期任務?」
今度は泣きそうな顔で青年を見上げる。
「だって、兄者、長期任務の前はいっつも私の好きなもの買ってきてくれるもん……」
青年は名無子を優しく見下ろすと、軽い口調で答えた。
「そう」
「どのくらい?」
「今度は半年」
「そんなに?」
ショックを受ける名無子に青年は、あっという間だよ、って笑うと
「父上の言うこと、しっかり聞くんだぞ?」
名無子の顔を覗き込んだ。
その時ふいにリビングのドアが開く。
「ただいま。あー疲れた」
と男が入って来た。
「父上ー!!」
名無子は駆け寄ると、その男の腕をぎゅっと掴んだ。
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