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Boy's side-35 (ぺージ2/2)

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え、手裏剣――?

その瞬間、ハッとする。

その時の手裏剣がコレだって言うのか?
しかも、それをコイツはずっとお守りに?

今まで落ち着いていた俺の心臓が急にドクンッと体中に鳴り響いた。

「はじめはただ拾って持って帰ってきただけだったんですけど。そのうち、いつかお礼を言わなきゃって持ち歩くようになって。そしたら、いつの間にか、今度は私にとってのお守りになってました。シカマルさんが一緒にいて私を守ってくれるような気持ちになれたから」

名無子のまっすぐな眼が水たまりで濡れた地面から俺に移された。

「でも、もう、それ、いりません。お返しします」

ズキッと俺の胸に痛みが走った。
名無子のはっきり言い切った声に耳を疑う。

いらない?
もう、いらない?
それって…俺の存在はもう必要ないって……そういうことかよ?

絶句する俺の前で、名無子は一瞬地面に視線を落とすと、もう一度俺に視線を戻した。
そして、

「これからはシカマルさんがそばにいてくれるんですから!」

思いっきりキレイに笑った。
水たまりでキラつく野原の中で、背中に虹をしたがえて、さっきよりも数倍キレイな顔で名無子が笑ってた。
その姿に、正直、俺はしばらく見惚れて。
それでも、手にかかる手裏剣の重みに意識を引き戻される。
俺は迷わず名無子の頭を抱き寄せた。
トンと、俺の肩に名無子の額が触れる。

「あぁ、いてやる。お前のそばにいて、俺がお前を守ってやる」

俺の胸に手を置いて、俺の肩に頭をあずけたまま、名無子はおとなしく俺に抱きしめられていた。

ちゃんと守るよ。
俺が、お前のことを――。

胸の中で呟く俺の思いが聞こえたかのように、ゆっくりと、俺の腕の中で小さく震えるように、お前が俺にうなずいた。





to be continued.
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