take me out
Boy's side-34 (ぺージ1/3)
ベッド近くの小窓の桟に手をかけて空を見上げると、俺はキッチンで二人分のマグカップを洗っている名無子に肩越しに声をかけた。
「なぁ、雨あがったぞ」
「え、ほんとですか?」
いそいでタオルで手を拭いて、名無子が俺の横までやってくる。
「ほら」
「あ、ほんとだ」
二人で見上げた空はどんより雲の隙間から青空がのぞき始めて、今度は日の光が降りつつあった。
と言ってもすでに夕刻。
日は傾き始めている。
そんな空を眺めながら、俺は不意に思いついたことを口にした。
「そうだ。出掛けっか」
「どこに?」
俺は、わかんねぇ? ってからかい顔をして名無子を見た。
「定食屋。夕飯にはちと早ぇけど、ま、こんくらいいーだろ」
「うん、いーです。行きたい」
名無子が即座にうなずいた。
「よし、そうと決まれば出掛ける準備だ」
俺は目の前の窓ガラスを勢いよく閉めた。
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