take me out
Boy's side-32 (ぺージ1/2)
「なんだ? やけに機嫌が良さそうじゃないか」
温かな日差しがふりそそそぐ火影室で、綱手は俺の顔をしげしげと見つめた。
「んなことないですよ」
俺はいつものぶっきらぼうさを心がけ、返答する。
「そうか? アタシの気のせいか」
イスに腰掛けた姿勢で、綱手は書類に目を落とした。
全然気のせいなんかじゃねぇーけど。
綱手に言うとうるさそうだから黙っている。
確かにここ一週間、俺はご機嫌で。
特に今日は輪をかけて気分上昇中だった。
と言うのも、明日は名無子の退院日。
心弾まぬわけがなかった。
「では仕事の話をするとしよう。今度の任務は明朝、木の葉の里を発って……まぁ、一日で戻るのは無理そうな内容なんだが」
「明日ですか?」
「あぁ、そうだ、明日だ」
「……」
明日は名無子を迎えに行きてぇーんだけど、俺。
思わず無言になる。
「どうした? 不満そうじゃないか」
「いや、そーゆーわけじゃ……」
口ごもる俺を見つめて、綱手が不意にニンヤリ笑った。
「ふぅーん。なるほどな」
なるほどって…何がだよ……。
っつぅーか、すげぇヤな予感……。
綱手はまだニヤニヤしながら俺を見ている。
だが、フッと真顔に戻ると意外なことを言い出した。
「まぁ、いい。シカマル、明日一日、お前に休みをやろう」
「へ?」
「大事な用があるんだろ、明日?」
「はぁ」
「わかった。じゃあ、明後日、こちらの任務に行ってくれ」
そう言うと、綱手は別の任務の内容が書かれた用紙をペラッと俺に寄こした。
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