take me out
Boy's side-31 (ぺージ4/4)
「はぁ? 俺、そんなにマヌケな面かよ?」
俺がそう言うと、名無子はクマの眉間に指でしわを作り、
「ほらッ」
得意気になって俺に見せながら、ふふッて笑った、気がした。
笑った…?
暗がりの中の一瞬の出来事で。
笑った?
お前、今、笑ったのか?
「もう一回」
俺は名無子に夢中で言ってた。
「え?」
「だから、もう一回! お前のその顔」
俺にとってはクマの面なんかどうでもよくって。
そんなことより、お前が見せる笑顔のほうが重大なんだよ。
だって俺が一番見たいのは、お前の笑った顔なんだぜ?
だから。
「もう一回、今の顔」
「今の顔って…どんな?」
名無子は真剣に首を傾げた。
……だよな。
笑った気がした、程度だしな。
しかも一瞬だったもんな。
どんな顔してたかなんて、そんなのお前もしっかりわかんねぇーよな。
俺はムキになった自分を素直に謝った。
「悪ィ。なんでもねぇー。気にすんな」
お前の笑顔はなかなか見れない。
すげぇ見てぇーのに。
でも、待ってるって決めてっから。
お前が俺に見せてくれるまで、それがどんだけかかっても、俺は待ってるって決めてっから。
焦らしたりなんかしねぇーよ。
めんどくせぇーけど、気長に待っててやるから。
いつか絶対ェ見せろよ、キレイに笑ったお前の顔を。
to be continued.
(ページ4/4)-179-
←|→ backselect page/254