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Boy's side-31 (ぺージ3/4)

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俺を探す姿がなんか無性に愛おしくて、

そうだった。
コイツを寂しがらせたくなくて、だから買ってきたんだ、コレを。

俺は手にした土産に改めて気付いた。

渡さなきゃな。

「帰ってねぇーよ」

俺はさっきいた枝に戻って、

「コレ、やるよ」

ポンッと、持っていた包みを名無子に放り投げた。
名無子はそれをキャッチすると、

「なんですか?」

って聞いてきた。

「開けてみろよ」
「うん」

名無子がなるべく静かに包装紙を解いていく。
そして、中から現れたモノを見て、

「あ……」

と声をあげた。

「コレ!」
「お前んちにあったウサギの仲間だろ?」

名無子が包みの中から大切そうにクマのぬいぐるみを抱き上げた。
茶色のタオル地を縫い合わせてできたそれは相変わらずマヌケ顔で。
横棒をペタッと貼り付けたような目と逆三角の鼻がくっついていた。
素材といい、作りといい、名無子の部屋にあったウサギのぬいぐるみと実によく似ている。

いっつもあのウサギと一緒なんだろうけど、ここにはいねぇからな。
代わりにこの似たり寄ったりなクマ、そばに置いとけよ。
そしたら、ちっとは寂しくなくなんだろ?

「ありがとう」

って、すげぇ嬉しそうに礼を言う名無子に、

「どーいたしまして」

俺もひどく優しい気持ちで返事を返す。
そんな俺の顔を、何を思ったのか名無子はそのままジッと見ると、今度はクマの顔に目を移した。
そして、また俺を見て、

「このぬいぐるみの顔、シカマルさんみたい」

えらく納得した表情で断言した。



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