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Boy's side-28 (ぺージ1/2)

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たどり着いた部屋で、名無子は静かに眠っていた。
カカシと同じようにいたるところ包帯で保護されている。
顔にもほほにも大きなガーゼがテーピングされて、安らかに眠るその表情とは裏腹にひどく痛々しく感じた。

「名無子」

俺は冷たい床に膝を落とし、名無子の枕もとを覗き込むように膝立ちの姿勢をとる。
両腕を軽くベッドの上にのせると、ほんの少しだけベッドがキシッと音をたてた。
規則正しく繰り返される呼吸にホッとしつつも、名無子の返事が欲しくて俺は名前を何度も呼んだ。

「名無子?」

それでも瞳は閉ざされたままで、言いようのない不安感に襲われる。
その不安をぬぐい去りたくて、俺は一人で懸命に話しかけていた。

「なぁ、目を開けろよ。忘れたのかよ? 今日、俺と飯食いに行く約束したろ。遅くなんなよって言ったろ。なぁ?」

だから早く目ェ開けてくれよ。
約束したじゃねぇか。
俺との約束、ちゃんと守れよ――。

そんな思いに胸が張り裂けそうだった。

「意識がまだ戻らないんだよ」

いつの間にか俺の背後に綱手が立っていた。
名無子に視線を落したまま身じろぎしない俺に向かって、綱手が言葉を続ける。

「お前に会わせるのは意識が戻ってからにしようと思っていたんだが。そのほうがお前も安心するだろうからな。まぁ、止めても無駄そうだったし、それに2〜3日もすれば意識も回復するだろう。心配ない」

最後の言葉に俺ははじけるように綱手を振り返った。

「マジ、すか……?!」

2〜3日でコイツ、目ェ覚ますのか?!

綱手は俺の勢いを冷静に受け止めると、

「あぁ、大丈夫だ。じきに目を覚ますさ」

はっきり言いきって部屋を出て行こうとした。
そして、思い出したように、あぁ、そうだと俺を振り返り、

「今日は特別だが、名無しは意識が戻るまで面会謝絶だ。明日以降、部屋に忍び込んだりするなよ?」

綱手は思い切りニヤリと笑った。



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