take me out
Boy's side-25 (ぺージ2/2)
「おみやげ、ありがとう」
一言礼を言うと、
「それと」
「……?」
続けて俺に、
「シカマルさんの好きな食べ物って何ですかーー?」
アイツにしてはめずらしくでっかい声で聞いてきた。
「はぁ? 好きな食べ物? …サバミソとか」
突然の質問に面喰いながら俺が首を傾げて答えると、
「じゃぁ、それ」
俺の言葉を名無子がアッサリと肯定した。
「それ?」
何の話だ、一体?
いっこうに話の見えない俺の頭上に、名無子はさらに声を降らせる。
「サバミソが食べたい。今度おごってください、サバミソ。さっき、それ言い忘れちゃったんで」
あぁ……そのことか。
で、サバミソ、ねぇ。
っつーか。
「別におごるのはかまわねぇけど。約束だしな。けど、サバミソなんて食いに行くところ定食屋だぜ? 色気もなんもねぇーけど、いーのかよ?」
もっと可愛いもんがいーんじゃねぇかと思ってそう聞くと、
「いーんです、サバミソが」
名無子が自信を持って答えた。
そんな名無子を見て、
まぁ、コイツらしいっちゃ、らしいか。
俺は緩みそうになる口元にわざとめんどくさげな表情をのせて、下から声を張り上げた。
「よーし、わかった。明日、任務が終わったら、めんどくせぇーけど俺がよく行くとこ連れてってやるよ。そのかわり、さっさと任務終わらせてこいよ?」
「うん」
「絶対ェ遅くなんなよ?」
「うん」
「約束だぞ?」
「うん」
別に遅くなったって、ずっと待っててやるんだけど。
それでも俺は、そんなふうに言って名無子と約束を交わした。
なんでだろう。
約束しねぇと、なんだかコイツが離れちまいそうで。
柄にもなく俺は不安なんてものを感じてた。
そんな気持ちをふっきるように、
「じゃぁ、また明日な」
俺が手をあげると、名無子は手に持ったこんぺいとうの袋を左右に振って、俺にもう一度答えてみせた。
to be continued.
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