take me out
Boy's side-22 (ぺージ3/3)
ピーンポーン。
……。
返事なし。
名無子はいないってことか。
ホッとした気持ち半分、残念な気持ち半分。
まぁ、でも、俺は潔くドアの前から立ち去ることにする。
うつむきがちに踵を返したその時、
「シカマルさん?」
俺の耳に知ってる声が飛び込んだ。
へ?
突然かけられた声に目を向ければ、アパートの階段をのぼったところに見慣れた黒つなぎ。
「名無子」
「どうしたんですか?」
相変わらず落ち着いた顔つきで俺に近づいてくる名無子。
それとは対照的に、俺の心臓はばくんッと悲鳴をあげた。
ちっとは俺見て慌ててくんねぇ?
完ぺき俺のほうが取り乱してんだけど。
そんな自分を悟られぬように、
「あーいや……お前、任務の帰り?」
俺はなんとなーく話の矛先を変えてみる。
「そうですけど」
「お疲れさん」
はぁ、と言いながら俺の前を通り過ぎると、名無子は家のカギをガチャガチャやってドアを開いた。
そして、俺に視線を移すと、
「お茶くらい出しますよ?」
ドクンッ。
俺の心臓が本日何度目かの大きな音を立てる。
それでも俺はしごく平静をよそおって、
「んじゃ、せっかくだし、頼むわ」
そう返すと、名無子の後について玄関の扉をくぐった。
to be continued.
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