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Boy's side-12 (ぺージ3/4)

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何かを告げてくるようなその眼に、頭の中でこの先の展開が瞬く間に飛び交った。
すげぇヤな展開が俺の頭を支配して、心拍数が否応なしに上がっていく。

頼むから、早くいつもみたく無愛想に、そうですけど、って言えよ。
俺の最悪な予測を否定しろ。
じゃねぇと、俺、今までお前にさんざんヒドイこと言って――。

「家族はみんな亡くなりました」

静かに、俺の一番聞きたくなかった答えを名無しの口が告げた。

――――。

俺の脈が速くなる。
軽く耳鳴りまでしてきた。
その向こう側から、名無しの声が聞こえてくる。

「母は小さい頃に病気で。父と兄は一年前に任務で相次いで命を落としました」

病死……。
殉職……。
俺、知らなかったから、帰り際に毎回毎回、母ちゃんが飯作って待ってんだろとか、親が心配すっからとか……。
今だって――。

「だから家族はもういません」

言葉を無くす俺の前で、名無しは壊れそうなほど透明な表情を見せた。
俺の頭の中で、あの雨の日の名無しがダブる。
あの夜出会った少女がよぎる。

「……んで…」

俺の声がかすれた。

「なんで言わねぇんだよ?」

思わず、声が荒くなる。

「俺、そんなこと全然知らねぇーから、余計なことたくさん言って、お前のことたくさん傷つけちまったじゃねぇか。それなのに、どうして何も言わねぇんだよ? つらいとか、悲しいとか、苦しいとか、どうして俺に教えてくれねぇんだよ?」

俺の言葉を聞いても、名無しは相変わらず黙ったままだ。
怒るわけでもなく、怒鳴るわけでもなく、静かに俺を見つめている。
そんな名無しに、俺の中で何かが弾ける。
俺は畳みかけるように自分の気持ちを吐き出した。

「もっと……! もっと俺にお前を見せろよ! ほんとのお前を俺には見せろよ! 何考えてんのか、何思ってんのか、何が嬉しいのか、何がムカつくのか、何もかも俺には言えよ! 全部全部、俺に吐き出せばいーじゃねぇか!」

静かな夜に、自分の呼吸がやたらと響いて聞こえた。



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