take me out
Boy's side-12 (ぺージ1/4)
「送ってく」
「はい?」
「お前んちまで送ってやる」
ホタルの飛ぶ川縁をあとにして、俺は名無しに言った。
遅くなっちまったからな。
めんどくせぇーけど、送ってやるよ。
俺が送ってくなんて初めて言ったから、名無しが聞き返してくるのも当然だった。
「家どっちだ?」
「別にいいですよ、送ってくれなくて」
「よくねぇよ。こんな遅くに一人じゃ危ねぇだろ。ほら、早く帰り道教えろ」
「……」
俺の問いかけに名無しは黙秘権行使。
ふーん。
そうきたか。
黙っている名無しに、俺はツカツカと寄ってその顔を覗き込む。
すげぇ真面目な顔をして。
キスでもしそうな勢いで、その顔を覗き込む。
「な…んですか?」
後ずさる名無しに、
ムニッ!
「――!」
俺は名無しの怪我してない方のほっぺをつまみ上げた。
「家どっち?」
「……あっぢ」
名無しの答えに、俺はニヤリと笑ってやった。
「おし、帰るぞ」
俺は名無しのほっぺを解放して、指さされた方向へと歩き出した。
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