take me out
Boy's side-10 (ぺージ3/3)
あぁ、そうだ。
朝、ポケットにねじ込んだ絆創膏を思い出す。
俺はそれを取り出すと、名無しの頬にペタッと貼ってやった。
これでよし。
満足げな思いで、何気なく服を見る。
あーあぁ。
すっげぇー泥だらけじゃねぇーか。
服も所々小さく破れてるしよぉ。
カカシの奴、もっとしっかり守ってやれよな。
コイツ、攻撃受けまくってんじゃねぇーか。
ちょっと腹立たしく思ったとき、俺はあっと気が付いた。
っつぅか、コイツ、任務終了してすぐここ来たのか?
泥だらけのまんま。
疲れた体を引きずって。
そのことになんか気持ちが満たされる。
別に俺に会うために駆けつけたわけじゃねぇだろーけど。
ヘコんだ俺を励ますために来たわけじゃねぇだろーけど。
それでも俺のために急いで来たのかもって思うと、すごくあったかくなれた。
隣で眠る名無しの前髪をふわりとかきあげる。
猫みてぇ。
体をきゅうっと丸めて眠る名無しの姿は猫を彷彿とさせた。
なんかで読んだな。
猫は人の気持ちを察して、必要なときに必ず傍にいてくれるって。
ほんとは今日のお前もそうだったりしてな。
……んなことあるわけねぇーか。
それでも少しだけ、コイツは俺の気持ちをわかってくれてるんじゃないかって期待する自分がいて。
今日の俺、なんかおかしい……。
任務しくじって、相当気落ちしてんだな。
めんどくせぇー。
俺は自分らしくない胸の思いを全て任務のせいにした。
to be continued.
(ページ3/3)-58-
←|→ backselect page/254