take me out
Boy's side-10 (ぺージ2/3)

 bookmark?


俺の隣で空を見上げるアイツの姿が脳裏に浮かんだ。
一人になりたいはずなのに、一緒にいるのがコイツなら別に構わないと、どういうわけかそう思う自分がいて、俺の体は不思議な空気に包まれた。
降りそそぐ日の光の音が聞こえそうな静けさの中で、コソッと横で身じろぎする気配がした後、野原はまた元の静寂さを取り戻した。
それから結構時間が経つ。
相変わらず丘の上はひどく静かで。

それにしても静かすぎねぇ?

俺はそーっと横を見た。
右横に、俺の方に体を向けて縮こまって横たわる名無しがいた。
よく聞いてみれば、気持ちよさげに小さな寝息を立てている。
俺はムクッと起きあがって、その寝顔を見た。

寝てんのかよ……。

「おーい、寝てんのかぁ?」
「俺、今、ヘコんでんだけどーー」
「寝てねぇで慰めたらどうだよ」

次々と声に出してみる。
でも返ってくるのは、すぅーすぅーという規則正しい寝息ばかり。

熟睡かよ。
でも、すっげぇー安心して寝てんのな。

それが俺にはなんか嬉しくて、名無しの顔を静かに見つめた。
その顔には手裏剣でもあたったのか、かすり傷が出来ている。

なんだよ、顔に傷なんかつけちまって。
嫁に行けなくなるぜ? …なんてな。
そんなこと言ったら『別に行く気無いんで』とか返されんだろうな。
コイツはほんとにかわいくねぇーな、ったく。

俺はそんな名無しを勝手に想像して一人で可笑しくなった。



(ページ2/3)
-57-
|
 back
select page/254

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -