take me out
Boy's side-08 (ぺージ4/4)
「お前、結構強いんじゃねーの?」
「弱いですよ。全然強くない」
その声がなんか妙に澄んだ響きで、俺は名無しの背中をじっと見つめた。
お前、ホントに何思ってんだよ?
お前の気持ちを掴もうと伸ばしても、俺の手はいつだってその背中で跳ね返されるから、変なもどかしさをおぼえるばかりなんだ。
お前、ホントに何思ってんだよ?
黒いつなぎ姿が夕日に浮かぶ。
俺は赤く染まり始めた空に気づいて、あぁ、と思った。
夕日……もうこんな時間か。
俺はすっきりしない気持ちを抱えたまま、それでもいつも通り名無しに言う。
「そろそろ暗くなるから帰れ。母ちゃんが飯作って待ってんだろ」
「あ、帰ります」
いつも同じ、淡々としたアイツの答え。
「気をつけてな」
俺は縁側に座ったままアイツを見送った。
to be continued.
(ページ4/4)-44-
←|→ backselect page/254