take me out
Boy's side-08 (ぺージ3/4)
俺は思いっきりふてくされて
「わかったよ、じゃあ、いいよ」
と投げやりに答えた。
それに対してコイツが
「スミマセン、そんな怒んないで下さい。一緒にやりますから、将棋」
なんて言うわけもなくて、
「そーですか」
あっさりと軽ーく言ってのけた。
……かわいくねぇな、おい。
そんな俺の目の前で、名無しは何を思ったのか、
「奈良さんには絶対勝てないんで」
ふっと呟くと、縁側から立ち上がって俺に背を向けた。
なんだよ、それ。
そんなことねえーだろ。
名無しの姿が傾きかけた日を浴びて黒く浮かびあがる。
俺はその黒い後ろ姿を眺めながら、思わず前から気になっていたことを口にした。
「お前さー。なんで、いっつも黒い服着てんの?」
名無しが振り向く。
「いや、もっと違う色の方が似合うんじゃねぇかと思って」
なんでかな、お前には女の子っぽいキレイな色とか着て欲しい。
「かわいい色でも着たらいいんじゃねぇ? お前も一応、女なんだからよ」
俺はこんなこと口にする自分が恥ずかしくって、めいっぱい『一応』に力を込めて言う。
名無しはまたむこうを向いた。
「そういう色は自分がもっと強くなったら着ます。まだこの服でいいんです。まだ」
もっと強くなったら……?
何言ってんだよ、意味わかんねぇー。
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