ここまで読まれている方の中に本誌未読の方居られますでしょうか。まずは一報として申し上げますが風は存命しております。

【以下、本誌報告】
先週霞と対峙した上弦の壱・黒死牟の元へ玄弥が合流し不意打ちを狙いますがあっさりと斬り捨てられます。しかし鬼食いをしている彼は胴体を斬られても死にません。黒死牟が玄弥の頸を斬ろうかと言う時に半年間姿を暗ましていた不死川実弥が彼を庇うように登場します。此処で彼は玄弥に対して散々弟など居ないと突っぱねていましたが「テメェは本当にどうしようもねぇ弟だぜぇ」と初めて玄弥に対して弟だと口にします。そこから玄弥の回想になり、16巻に収録されていた岩柱の訓練で炭治郎が言いかけた「風柱の、お兄さんの事なんだけど」に繋がっていきます。「あの人は鬼殺隊に入った事を怒ってはいた」「でも憎しみの匂いは少しもしなかった」「実弥さんは玄弥の事がずっと変わらず大好きだから」と言っていた炭治郎の言葉がやっと明らかになります。そして不死川さんは弟を庇うように刀を構えたまま「テメェはどっかで所帯持って 家族増やして爺になるまで生きてりゃあ良かったんだよ」「お袋にしてやれなかった分も 弟や妹にしてやれなかった分も お前が お前の女房や子供を幸せにすりゃあ良かっただろうが」「そこには絶対に俺が 鬼なんか来させねぇから……」不死川さんの気持ちが初めて言葉にされ弟に伝えられました。彼の表情は見えませんでしたが、切り刻まれた弟を見て彼は何を思ったんでしょう。どうか生き残った弟は幸せに、と願い続けた兄の言葉を聞いて玄弥は何を思ったでしょう。「ごめん兄ちゃん…ごめん……」泣きながら玄弥は謝ってました。ここから風と黒死牟の対戦カードが発動し次週へ繋がります。

はあ、もう書いてて一杯一杯です。
まず不死川兄弟の和解を祝福したい。でも状況が状況だけに死亡フラグをおっ立てたようにしか見えなくて。でもね、私不死川さんが来たことで物凄く安心してるんです。絶対に死なないと思ってます。だけどもし霞・風・玄弥の中で誰かが死ぬならば玄弥じゃないかなと思います…。とても、とても受け止めきれない。しのぶさんのように死ぬ事で成し遂げられる展開があるとしたら、兄が弟を庇って「どうか幸せに」という話になりますがどうでしょう、あんまり考えると何も書けなくなるので割愛します。

今回の話で明らかになったのは不死川実弥という男が鬼殺隊に席を置くのは全て弟の為であるという事です。
弟の幸せを願って、自分達の負の記憶でしかない鬼という存在を自分が斬るから、近づけさせないから、弟には幸せになって欲しいという一心で刀を振っている。
この時点で私は中編の夢主が彼らの間に居てはいけないと思いました。純粋に弟を思う不死川さんの気持ちを邪魔する異物です、こんなものがあってはいけないと頭を抱えました。
彼は自分が鬼を斬る役割で、幸せになるのは弟だと信じて止まない、完全に決め切ってしまっている。
「何の為に母親を殺してまでお前を守ったと思ってやがる」という科白がありましたが、もう彼はあの時点で己を殺して弟の為に最愛の母を手にかける覚悟が出来ていたんですね。どれだけ辛かったでしょう。守った弟に罵倒され、それでも彼の幸せを願い続けた弟を思う気持ちが彼を「柱」にまで成長させたことが辛過ぎて仕方ない。
生き残ったただ一人の弟の為に全てを懸けて、自分の事なんて顧みずにお前が幸せになる為に俺は鬼を斬るから、だからお前は笑ってりゃいいんだよ、という彼の心。もうそこには何かがあっちゃいけない。原作の彼は自分が人並みに幸せを掴む事を放棄しています。ただ弟の為に鬼を斬る兄という存在なんです。
私が描いた不死川実弥は原作で玄弥に向けていた気持ちを少なくとも夢主にも向けてしまっています。これがいけない。幸せになって欲しいと願う対象が二人もいちゃいけない。鈍ります、全部が。
作中ではそう言った言い回しをしませんでしたが、不死川さんは夢主に母親の姿を重ねている部分がありました。自分より小さく弱い女が自分の身の回りの世話をしてくれるのを見て、ああ、お袋が居たらこんな未来もあっただろうか、お袋にしてやれなかった事をこいつにしてやることで少しは報われるだろうかという考えを持っていました。それがもう今回の話を読んで自分の中では崩壊してしまって…。
私はただ不死川実弥が笑って暮らせる世界が来ることを望んでいます。弟の為に全てを捧げたたった一人の兄です、お願いだから報われて欲しい。

夢書きである以上ある程度は割り切らないといけないですが今しばらくお待ちください。すこし時間を下さい。きちんと色々が消化できるまで。

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