雑記・SS | ナノ



もう肩に腕を回す力もなくなったまま、誰かの背に乗っている事だけを朧気に理解していた。
私の体が落ちないようにと大きな手が膝裏を何度も抱えなおし、階段を上っていくようだった。

…誰だろう。
もう目を開くことも出来ないほど脱力した体ではそれを確かめる術がない。ひとつ、ふたつ、段を踏みしめる度に落ちそうになる体を支える腕はとても頼もしく思えた。

「大丈夫だ、絶対、助けるから。もう少し踏ん張れ」

その声が耳に響いた瞬間、その正体がわかった。
途端に気の抜けた意識はそのまま深く沈んでいった。




「――っていう夢を見たんです」
「…で、結局誰だったんだよ」
「後藤さんです」
「…ア?」
「後藤さん」

後藤さん完全に巻き込み事故を食らう。





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