鬼滅の刃短編小説 | ナノ



人の死を見るのは何度目だろう。


隠になってから初めて、鬼殺隊にはこんなにもたくさんの剣士が同じ志を持って刀を振るっている事を知った。
私達の仕事は、主に鬼殺隊が鬼狩りをした後の"事後処理"。
鬼なんかは放っておいても日に焼かれて死ぬが、生身の人間である鬼殺隊士はそうはいかない。

腕を失くしたなら見つけてやる。
足を失くしたなら探してやる。

落としてしまった命はもう、掬い上げる事は出来ないが。

「嘘だろ」
「炎柱様が…」

固く剣を握ったまま、安らかな顔で眠られている炎柱様のお身体を固まってしまう前に横たえる。
その名に恥じぬ剣技を以て戦われたに違いない。柱という階級の貴方がこんなにも血を流し、己の体を貫かれてまで対峙した相手。
折れた日輪刀を手から引き抜こうとした時、燃えるような熱をもったままのそれに思わず手が止まった。

…生きていたんだ。ほんの少し前まで。

少年達が泣きながら炎柱様の名を呼ぶ。嗚呼、貴方には継子が居なかった。彼らはきっと、貴方の教えを真っすぐに受け継いでくれただろうに。

少し笑みを浮かべたような顔が痛ましい。
貴方は最後に、何を見られたのか。

「…煉獄さん」

―――『名前、君の燃えるような深紅の刃を俺は覚えているよ。剣士を退こうとも、君の心は俺が燃やし続ける』

私の心はまだ、貴方に寄り添っているでしょうか。


Title:婀娜様





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