「ええっ、六つ子…?」
今日会った目の前の彼はいつもお店に来るおそ松くんではなく兄弟らしい。嘘みたいな本当のその話に驚くと、紫色のパーカーの彼は少し顔をしかめた。あ、こういう風に言われるの好きじゃないのかな…?少し眉をひそめたままの彼は私をじーっと見つめてくる。
「で」
「?」
「あんたは誰なの」
「わたし…は、」
兄弟のこんな話聞きたくないのかもしれない、と思ったら少し言葉に詰まったが正直に話すことにした。ざっくりとこういう仕事をしていて知り合いましたと伝えると彼は眠たげなその瞳を一瞬大きく見開いた。
「……へえ、じゃあお金用意すればエロいこと出来るししてくれるの?」
「まあ、そうなりますね」
「ふーん、でもそういうの行ったことないけど高いんでしょ。俺こんだけしか持ってないし…」
彼がジャージのポケットから出した金額は、くしゃくしゃになった3000円札と小銭。確かにお店に来たらそんなんじゃ何のオプションも付けられない…どころか入店すら出来ない。けど、何故か私は。
「いいですよ」
普段はそんな安い金額じゃプライベートでも絶対にしないのに。何故だかすんなりと受け入れてしまったのだ。
「特別サービスです」