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「俺に愛されたいなんて、本気だとしたら本当にキチガイだね」

「うんそうだね」

「頭おかしい人間としか思えないし」

「うんそうだね、私もそう思う」

照れ隠しに皮肉を言ったのにるりは気にもせず、寧ろにこにこと笑っている。何だよ畜生、俺かっこ悪いじゃん。るりは今まで見たことないくらい嬉しそうに顔を綻ばせて、悔しいけど可愛いなんて柄にもなく思う。
この数ヶ月でいろいろあった。るりに出会って、俺自身変わった。るりと離れて、もう一緒に居られないと思ったら今まで当たり前だと思っていたものが大切だったんだって分かった。映画やドラマで聞くそんな耳が腐りそうだと思っていたフレーズが、まさか自分が誰かに対して思う時が来るなんて。
るりがふと俺を見て「で?」と聞いてきた。

「あ?」

「私の我侭、きいてくれるの?くれないの」

我侭って…ああ、さっきのあれか。きっと本当は俺の方が好きなんだろうけど、照れくさくてまた素直になれない。俺は自分のこういうところ含めて大嫌いなのに、るりは俺のどこを好きになってくれたんだろう。

「まあ…その、聞いてやらなくも、ない」

精一杯の答えに、るりは吹き出して笑った。


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