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家の中なのに肌寒くて目を開けた。猫と遊んでいた時は明るかったのに、気が付けば昼寝をしてしまっていてもう外は暗くなっていた。しかもしとしとと雨が降っている。
るりと会っていた頃は週三日程るりの家に行っていたから、こうしてずっと家にいると手持ち無沙汰だ。兄弟の中では「女が出来たのか」と信じられなさそうに言ってきたが、ここ最近じゃ「ふられたの?」と容赦無く聞いてくる。うるせえ。

「ほんと最近の一松は抜け殻みたいだな」

「…別に、いつもと変わんないでしょ」

「いや、前までは一松兄さん何か楽しそうだったよね。やっぱり、この前商店街で会った子でしょ?」

「…………お前には関係ねーよ」

緑とピンクが人の事情に今も尚口を出している中、携帯にメールが届いていることに気付く。画面上には「るり」の文字。あの時と同じ。おそ松兄さんに誘われたるりに酷いことを言ったあの時と…真夜中に表示されたるりの名前に心臓がどくんと跳ねた。今もどきどきと鼓動が早くなっている。

開くと…「伝えたいことがあります。初めて出会った公園で待ってます。」の文面だった。メールの時間を見ると15:05、部屋の時計を見ると19:24だった。もしこの時間にるりが公園で待っているとしたら、もう四時間半も待っていることになる。思わず立ち上がったけど、外を見て再び座った。

もう四時間半も経ってるし、外は雨。
いるわけ、ない。


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