03


「るりちゃん、次指名よろしくね」

指定された部屋へ向かうと珍しく若い男性の客だった。赤いパーカーを着た男が退屈そうに寛いでいた。

「うわっ」

「…こんばんは」

一言目に「うわっ」と言われたのは初めてだったので、思わず顔に出てしまったのだろう。男は慌てて取り繕った。

「あ、ごめんごめん。悪い意味じゃなくて、看板で見て可愛いなと思って指名したんだけど、本当にそのまま可愛かったもんだからさぁ。こういうの詐欺かと思ってたけど」

「どうもありがとうございます…」

第一印象は、軽そうな奴だな、だった。今日はどうしますかと聞くと、即答で「一緒に風呂に入りたい」だった。

「うはーっ、可愛い女の子と一緒にお風呂とか、最高だね」

少し広めのバスタブに泡風呂を入れる。まるで子供の様にはしゃぐ姿を見て思わずクスッと笑ってしまった。男はぽかんとして私を見つめた。

「あ、ごめんなさい。子供みたいで可愛いなって」

「えーっ、なにそれ」

客とこんな風に話すのは初めてだった。同い年くらいの人はなかなか来ないので、新鮮だったし楽しいと思えた。


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