世間一般の夫婦やカップルはどうしてきたのだろう。人が人を好きになって、その人が自分を好きになってくれるなんて奇跡みたいなものなんじゃないのかな。人が人を愛する時、どうすればいいのか私には分からない。
「いっ、いちま…」
漸く絞り出した声は震えていて、聴こえていたのか聴こえていないのか一松は歩みを止めることは無かった。会いたかった、のに。ひたすらに心の中で「一松」と名前を呼び続けることしか出来なかった。
「えっ、何も連絡ないの?」
「……うん」
「しかもすれ違ったのに何も無かった?」
「………うん」
おっかしいなー、とおそ松くんは頭をがしがしと掻いた。一体何をしたのか、おそ松くんは腕を組みながらうーんと唸っている。
「…そもそもお前らさぁ、お互い何も伝えてねーじゃん。そこが問題なんだろ。確かに怖いと思うよ?けど、ビビりすぎ。そんなんじゃ前にすすめねーよ」
「….……」
そう、そうだ。私決めたんだ。伝えたいこと伝えるって。一松がどう思っているのか知りたいって。もしこの気持ちが叶わなくても、言わなきゃ。