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俺に任せとけよ、とおそ松くんに言われ不安な気持ちのまま一週間が過ぎた。一松に連絡しようかずっと迷っていた。携帯を握りしめては悩み、文字を打ち込んでは消し、電話帳を開いては閉じる。そんな日々。本当は連絡したかったけれどあんな風に逃げてしまったから気まずかった。おそ松くんからも何も連絡はない。

休みの日スーパーへ行った帰り、ずっと会いたかった一松に突然会う機会がやってきた。買い物を終えて商店街を歩いていたら、居酒屋から見覚えのある紫色のパーカーを着た男がのれんをくぐって出てきた。思わず立ち止まると一松も私に気付き店の前で立ち止まる。少しの間時間が止まったみたいに沈黙のまま見つめ合う。

「わ、ちょっと一松兄さんお店の前で立ち止まらないでよ」

「え、なに知り合い?」

確か六つ子って言ってたっけ、同じ顔をした兄弟が後から出てきた。それをきっかけに一松は何も無かったかのように歩き出す。

「えっ、ちょっとちょっと!知り合いじゃないの?」

「………いや」

その一言がどんな意味があったのか。「もう終わりにしたい」あの言葉が蘇って私の心臓が締め付けられた。兄弟の制止の声も聞かずに、まるで私と会ったことなんて無かったかのように、一松はそのまま歩き出した。あれ、一松の背中ってこんなに遠かったっけ。


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