コンビニへ出掛けて家に帰ると居間におそ松兄さんがいた。あれ以来おそ松兄さんとは口をきいていない。チョロ松兄さんやトド松からは「何?まだ口きいてないの?いい加減仲直りしなよこっちまで気遣う」なんて言われたりするけど、どうせお前ら気遣うなんてこと出来ないししないだろと心の中で悪態をつく。
今は家におそ松兄さんしかいないらしくて溜息をつき二階へ上がろうとした。
「一松」
「………何」
振り向かずに立ち止まる。
「俺さぁ、るりちゃんに告白したよ」
その一言に思わず振り返った。おそ松兄さんは変わらず言葉を続ける。ただただ混乱して、動揺して、立ち尽くす。
「…は?」
「いや、この間の事はちゃんと謝罪しに行ったよ?で、その後でるりちゃんが好きって言ったの。」
「……へぇ」
「るりちゃん悩んでたけど、頑張れば俺を選んでくれるんじゃねーかな。結構気許してくれてるみたいだし?この前家に行ったけど、るりちゃんの作る飯ってうまいんだねえ!お前いつもあんなの食ってたの?羨ましいわー」
止まらないおそ松兄さんの言葉が、俺の心臓を抉るみたいに侵入してきて嫉妬心が大きく膨らんでいくみたいだ。
「あ、そうそうるりちゃんってさー」
いい匂いするよね、と含みのある笑みを浮かべるおそ松兄さんに耐えられなくなって遮るように「俺にはもう関係ないから」と居間の襖を閉めた。
関係ない、と自分で言って泣きたくなった。俺が今まで言えなかった、「飯がうまい」もおそ松兄さんはさらりと言えたんだろう。それでも俺が、俺の方がるりを知ってる。
まるで自分が嫉妬に取り憑かれた悪魔みたいだと思った。