33


るりが部屋を飛び出して、少し躊躇をした。すぐに追いかけられなかったのは、どうしていいか分からなかったから。この関係を終わりにしたい、それを伝えたらるりは泣いていた。るりはどんな反応するだろうかとずっと考えていた。けどわからない。何で、るりはあんなに辛そうな顔をしていたんだろう。あー、くそ、わかんねえ。けど、何でか分からないけど兎に角るりが傷ついているなら…俺が傷つけてしまったんなら今すぐにるりを追いかける…それが今すべきことだと思った。

サンダルを急いで履き部屋を出る。るりはどこ行ったんだ。ポケットから取り出して携帯で電話をかけてみるけど出ない。外はまだ暗くてよく見えない。
胸がざわざわする。それは何となく、今るりを見つけて俺の気持ちをきちんと伝えないともう今後会えなくなる気がしたから。普段走らない怠けた身体を必死に汗だくになりながら探し回る。けど、るりは結局見つからなくて。空が明るくなるまでるりのアパートの玄関前で待っていたけど、それでもるりは帰ってこなかった。

るり、俺さぁ…ずっとお前のこと好きだったんだよ。今でも好きなんだよ。ごめん、言いたいこと…伝えたいこと、伝えなくちゃいけないことあったのに。口下手で不器用で、作ってくれた飯も「うまい」の一言も言えなかった。新しく買った服も「かわいい」って言えなかった。寂しそうな顔をしていた時「大丈夫だから」って言ってやれなかった。俺、何もしてやれなかった。
後悔ばっかりの情けない俺の身体に、朝靄の肌寒さがより身に染みた。


≪ ≫
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -