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るりに無理矢理迫っていたことも許せなかった。それは正義感とかそんなんじゃなくて、多分嫉妬とかそういうやつ。だけどるりが泣いていたことと、おそ松兄さんの言葉が感情のブレーキを簡単に壊した。
るりはたまに寂しそうな顔をする。俺も、ひとりには慣れたけど孤独は寂しい。るりは何も言わないけど、少し気持ちが分かる気がした。だからそんなるりを金払えば性欲発散できる玩具のように言うおそ松兄さんに我慢出来なくなって、気が付けば右頬を殴っていた。

「………じゃあお前はどうなんだよ」

地面に倒れていたおそ松兄さんがゆっくりと立ち上がる。

「お前はるりの何なんだよ、客じゃねえのか、ああ!?」

「…っ、お、れは…」

何も、言い返せなかった。俺だって、不本意でも金のやり取りをしている。おそ松兄さんと同じことを…。
何も言えなくなった俺にハッ、と嘲笑うように吐き捨てた。

「お前だって同じじゃねえかよ。…何で、お前なんだよ」

おそ松兄さんはポケットに手を突っ込み、背中を向けて公園を出ていった。今になって、殴った右手がじんじんと熱を持って痛み出してきた。俺達兄弟、喧嘩はするけどこんな風に殴る程の喧嘩なんてしたこと無かったな。あー、人を思いっきり殴ったのは初めてだけど、こんな痛てぇんだ。
そういや、兄さんが言ってた「何でお前なんだよ」ってどういう意味なんだろ。


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