こんな所で、どうして私は今おそ松くんに無理矢理キスされてるんだろう。おそ松くんは荒々しく私の服を乱していく。じゃおそ松くんに敵わない。
突然足音と声が近くで聴こえた。
「……何してんの」
それは暗くても一松だとすぐに分かった。一松の背後に街灯があって、影になっているせいで私からはどんな表情をしているか分からない。けど先程発した声が聞いたことないくらい別人みたいで。ドスのきいた低い声が、一松がとても怒っているんだということだけ分かった。
「なんだ一松お前かよ、るりに会いに来たの?」
「質問に答えろよ、何やってんだよ」
苛つきや怒りが声に表れるほどの一松と明らかに不機嫌そうなおそ松くん。
「見てワカンナイの?今お取り込み中なんだよ」
「………こいつ、泣いてるけど」
一松は私を見てから、またおそ松くんの方へ視線を戻す。
「大丈夫だって。金ならやるからさ、なあるり、俺こいつより高く出すから俺にしなよ」
私が何かを言う前に、骨と骨がぶつかる鈍い音が聴こえた。私に覆いかぶさっていたおそ松くんはベンチから地面へと落ちている。
「…っ、いってーな!何すん…」
「こいつは商品じゃねえ!」
深夜の公園に一松の怒号が響き渡る。おそ松くんに無理矢理迫られた時も嫌だったし怖くて私の目には涙が溜まっていたけど、それよりも一松の言葉に私は涙をぽろぽろと流していた。
ずっと自分はこうして生きてきて、自分にはこの身体という武器しか価値がないと思っていた。商品として生きてきた。それを…生まれて初めて一松が否定をしてくれた。