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家までの帰り道。プルルルル、と暫く鳴り続けて諦めて切ろうかと耳から離した瞬間音が止まった。慌て気味に耳に当てる。

「も、もしもし?」

「…………もしもし」

無言の後に小さく帰ってきた返事にほっとする。電話越しじゃなくて、直接会ってきちんと謝りたい。ドキドキと緊張している自分の胸に手を当てて言葉に詰まる。

「あのっ、あの、ね……会って話したくて…今から会えない?かな…」

「…わかった」

良かった…。電話を切ってアパートに向かって歩き出す。家に向かう途中で「るりちゃん!!」と大きな声で呼び止められた。聞き覚えのある声に振り向くと、声の主は今から会いに来る人の兄弟だった。

「おそ松くん!」

「こんなとこで会えるなんてラッキー!仕事帰り?」

「うん、おそ松くんは?」

「俺はパチンコ帰り〜!久々に勝てたからさぁ、明日るりちゃんとこの店行こうかなって思ってたんだ〜。つーかメール無視って酷くない!?」

「あっ、ごめん仕事が忙しくて…」

一松と気まずくなってから返答に困って結局返事をしていなかったんだ。おそ松くんは「まっいーけど!」と特に気にした様子もなく笑う。そこで再び「で、お店にも行くけどさあ、プライベートでも遊んでくれるの?」と改めて聞かれ、正直に話すことにした。自分がおそ松くんの弟の一松と関係を持っていることと、今一松以外とはプライベートで会うつもりもないし、出来ないという事。驚くだろうなとは思っていたけど、私の思っていた「驚く」とは少し違った反応だった。

「…は?」

おそ松くんから笑顔が消えて、目の色が変わった。


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